青島神社は、宮崎県宮崎市青島に位置する神社です。青島のほぼ中央に鎮座し、島全体を境内とする珍しい神社です。旧社格は村社で、現在は神社本庁の別表神社としてその地位を確立しています。
青島は、周囲約1.5kmの小さな島ですが、熱帯・亜熱帯植物の群生地として国の特別天然記念物に指定されています。全島がこの特別天然記念物の範囲内にあるため、訪れる人々はその豊かな自然と共に、神聖な場所としての歴史と信仰に触れることができます。
青島神社には、天津日高彦火火出見命(あまつひだかひこほほでみのみこと)とその妃神である豊玉姫命(とよたまひめのみこと)、そして塩筒大神(しおづつのおおかみ)が祀られています。この神々は、山幸海幸神話に関連し、縁結び、安産、航海安全の神として広く信仰されています。
青島神社は、古くから青島自体が霊域として崇められ、海洋信仰に基づいて創祀されたと考えられています。社伝によれば、山幸彦火火出見命が海神宮から帰還した際、青島に上陸し宮を営んだ場所とされています。このため、その宮跡に神々が祀られたのが青島神社の始まりとされています。
歴史的に、青島は江戸時代まで禁足地とされ、一般の人々は入島することができませんでした。しかし、元文2年(1737年)までには神職や島奉行のみが入島でき、村民は対岸から遥拝する習わしが続いていました。その後、藩主に解禁を申請し、一般の参詣が可能になりました。
また、1871年(明治4年)に村社に列し、戦後は神社本庁の別表神社に指定されています。1881年には境内地が国有地となりましたが、1949年(昭和24年)に返還され、神社の所有に戻りました。
春祭は、青島神社で行われる主要な神事の一つで、「島開き祭」として知られています。昔はこの日から月末まで一般の入島が許されていました。
夏祭では、神輿が対岸の折生迫まで渡御し、漁船に載せられて青島を二周します。この神幸祭は古くから行われており、1948年(昭和23年)以降、海上渡御も取り入れられました。
冬祭では「裸参り」と呼ばれる儀式が行われます。これは、彦火火出見命が帰還した際に村人が服を着る暇もなく出迎えた故事に基づくもので、現在では参拝者が海水に浸かり静かに祈願する形に変わっています。
青島へ渡るための橋で、1920年(大正9年)に昭和天皇が皇太子時代に行啓した際に架設されました。現在の橋は1951年(昭和26年)に再建されたものです。
本殿は流造、拝殿は切妻造平入でともに銅板葺きです。現在の社殿は1974年(昭和49年)の火災後に再建されました。
御成道の入口にある、絵馬掛けで作られたトンネル状の参道です。
素焼きの盃を磐境に投げ入れることで、心願成就や厄払いが行われる場所です。
元宮は、本来の社地とされており、現在も祭祀が行われています。弥生式土器や獣骨が出土しており、青島神社の歴史の一端を物語っています。
拝殿の右前に鎮座し、豊玉彦命と少彦名命が祀られています。
拝殿の左前には、彦火瓊瓊杵命や木花咲屋姫命が祀られた石神社があります。
青島神社の境内には、弁財天を祀る弁財天社や、氏子の祖霊を祀る御祖神社など、多くの境内社が存在します。
青島の亜熱帯性植物群落は、1921年に国の天然記念物に指定され、1952年には特別天然記念物に格上げされました。青島には約200種の自生植物があり、そのうち熱帯・亜熱帯性植物は27種に上ります。特にヤシ科のビロウが群生しており、約4300本が生育しています。
青島の周辺には、国の天然記念物に指定された隆起海床や奇形波蝕痕が見られ、自然の力強さを感じることができます。