関之尾滝は、宮崎県都城市関之尾町に位置する美しい滝で、日本の滝百選の一つに選ばれています。滝は母智丘・関之尾県立自然公園内にあり、多くの観光客や自然愛好者に親しまれています。
関之尾滝は、大淀川支流の庄内川にかかり、幅約40m、落差18mの大滝、男滝、女滝の3つから構成されています。これらの滝は約33-34万年前に加久藤カルデラから噴出した加久藤火砕流堆積物の溶結凝灰岩を侵食してできたもので、滝は溶結凝灰岩の柱状節理に沿って流れ落ちる壮観な姿を見せています。
男滝は北前用水路の余水吐きとしての役割を果たしており、一方の女滝は取水口として機能しています。女滝は明治時代に岩を掘削して作られたものであり、歴史的な価値も持っています。
関之尾滝の側には、水神様を祀る川上神社があります。この神社は地元の人々に大切にされており、滝の神秘的な風景と相まって訪れる人々の心を和ませています。
関之尾滝の上流約600m、幅80mにわたる川床には、数千個もの甌穴群(おうけつぐん)が広がっています。この甌穴群は世界的にも有数の規模を誇り、1928年(昭和3年)2月18日には国の天然記念物に指定されました。
一般的な甌穴は岩の上部に点在する独立状タイプが多いのに対し、関之尾の甌穴は成長した穴同士が連結した「連鎖状タイプ」、浅い「とい」状の溝、そして溶結凝灰岩の節理に沿って侵食された「深い溝状タイプ」など、多様な形状が見られます。この複雑で壮大な自然の造形美は、訪れる人々に驚きと感動を与えます。
関之尾滝には、悲しくも美しい伝説が伝えられています。北郷氏初代当主である北郷資忠が当地で月見の宴を催した際、18歳で領内一の美女といわれたお雪(おしず)が資忠にお酌をしていました。しかし、誤って酒をこぼしてしまったお雪は、この失態を恥じて杯を持って滝つぼに身を投げてしまいます。
お雪の恋人であった経幸は、彼女を失った悲しみのあまり日夜滝の上からお雪の名を叫び続けました。そして、ある日、「書きおくもかたみとなれや筆のあとまた会うときのしるしなるらん」という歌を岩に鑓で刻んだ後、姿を消してしまいました。それ以来、名月の夜になると滝つぼから朱塗りの杯が浮かんでくるという伝説が語り継がれています。
関之尾滝は、宮崎県都城市からアクセスが容易で、車や公共交通機関を利用して訪れることができます。周辺には駐車場や観光案内所もあり、滝や甌穴群を安全に見学するための設備が整っています。また、近くには遊歩道があり、自然の中での散策も楽しむことができます。
関之尾滝は、自然の美しさと歴史的な背景、さらには伝説が織りなす神秘的なスポットです。滝とともに存在する川上神社や壮大な甌穴群など、多くの見どころがあり、訪れる人々に感動と癒しを提供します。四季折々の風景を楽しむことができるため、何度でも訪れたくなる場所です。