青島亜熱帯植物園は、宮崎県宮崎市青島地区に位置する、豊富な亜熱帯植物を楽しめる植物園です。この植物園は「宮交ボタニックガーデン青島」という愛称でも親しまれており、青島の対岸に広がっています。青島には特別天然記念物に指定されている亜熱帯性植物群落が自生しており、その環境を再現したかのように、ビロウなどの亜熱帯植物が園内に植栽されています。
外苑では、150種、8,000本に及ぶ多様な植物が植栽されています。ビロウをはじめ、青島に自生する10種類のヤシ科植物が見られるほか、宮崎県の県木であるフェニックスや県花のハマユウ、そしてランタナやハイビスカスなどの亜熱帯植物も見事に彩られています。
大温室には、186種類、1,500本の植物が育成されています。特に16品種のブーゲンビリアや、世界三大花木と称されるカエンボク・ホウオウボクが見どころです。これらの植物は、訪れる人々に華やかな色彩と南国の雰囲気を提供し、園内散策をさらに楽しませてくれます。
熱帯果樹温室では、26種類、83本の果樹が植栽されています。マンゴーやパパイアなどの南国を代表する果樹が豊富に育てられ、亜熱帯地域の植物の多様性を身近に感じることができます。2019年3月には、この温室もリニューアルされ、より充実した展示が行われています。
青島亜熱帯植物園は、平成28年3月にリニューアルされ、デザインも一新されました。正門では、青島名物「鬼の洗濯板」にインスピレーションを受けた白い花壇と南国の植物たちが訪れる人々を迎えます。門扉には植物園の歴史を大切にし、開園当初からの既存のものを引き続き使用しています。
正門を抜けると、濃緑のアコウの大木が印象的で、春・夏のイベント期間中には、ブーゲンビリアの鮮やかな赤が一面に広がります。紺碧の海と真っ青な空、アコウの大木に映えるブーゲンビリアの原色の世界が広がり、この正門は南国の物語の始まりを予感させます。
アコウのトンネルを抜けた正面に広がるのが、ロータリー花壇です。この花壇は、植物園で開催される多くのイベントの「顔」として存在感を放ちます。特に、春と秋に開催される「ブーゲンコレクション」では、高さ4メートル、幅7メートルのブーゲンマウンテンが大変人気で、写真スポットとしても好評です。ブーゲンビリアの華やかさは圧倒的で、季節ごとに異なる表情を見せます。
中央花壇を囲む広々とした芝生広場は、季節に応じてオーバーシードが施され、常に爽やかな緑が広がります。この広場は、イベントの会場としても活用され、様々な催しが行われます。周囲にはパラボラチョやシマナンヨウスギが植栽され、南国らしいトロピカルな雰囲気を楽しむことができます。
平成28年3月26日にリニューアルオープンした大温室は、床面積610㎡、高さ14.7mを誇り、宮崎で親しまれている様々な亜熱帯植物が植栽されています。旧温室から移植されたマンゴーやリュウビンタイ、ビヨウタコノキなどに加え、新たにブーゲンビリアやプルメリアなどの美しい花木が加わり、年間を通じて鮮やかな「トロピカルフラワーガーデン」を楽しむことができます。温室の西側には、シンガポール植物園との姉妹植物園50周年を記念してマーライオンの像が設置されています。
平成31年3月24日にリニューアルオープンした熱帯果樹温室では、マンゴーやパパイア、グアバなど宮崎で親しまれているトロピカルフルーツが栽培されています。温室内には26種類、53品種の果樹が植えられ、一年中果実を楽しむことができます。特にジャボチカバやリュウガンなど、見た目が独特な果樹や、生活に密接に関わるサポジラやシナモンなども揃い、様々な角度からトロピカルフルーツを堪能できます。
南国宮崎ならではの味を楽しめるパラボラチョカフェは、管理棟横の青島インフォメーション内で営業しています。植物園を訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみてください。
ロータリー花壇の海側には自然林が広がり、その林床部には1月から2月にかけてオキザリスやアザレアなどが咲き誇り、美しい花畑が広がります。このエリアは、平成19年に全国都市公園コンクール企画・独創部門で(財)日本公園緑地協会会長賞を受賞しています。
園内には高さ10メートル近いワシントニアヤシがそびえ立っており、真っ青な空とのコントラストが美しい景観を作り出しています。このヤシ林を抜けた先には、青島を望むことができ、潮騒の音と爽やかな風が心地良い空間です。
園路を東に進むと、広大な太平洋が広がり、青島海水浴場や青島神社、鬼の洗濯板など観光名所も点在しています。これらの名所を巡る拠点としても青島亜熱帯植物園はおすすめのスポットです。
青島亜熱帯植物園では、様々な亜熱帯植物を展示しています。ここでは、その一部をご紹介します。
[ヤシ科]:ブラジル原産
女王ヤシは、樹高が9メートル以上に達し、葉は3~5メートルにもなります。その優雅な樹形から、庭園樹木としても利用されています。(花期:6~11月)
[パンヤ科]:アルゼンチン原産
パラボラチョは、樹高が10メートルほどで、幹がトックリの形に似ているため「酔いどれの木」と呼ばれています。紅や白色の花を咲かせ、翌年初夏には白い綿を出す拳大の実をつけます。(花期:8~11月)
[マメ科]:熱帯アメリカ原産
サンゴシドウは成長が早く、陽光を好む熱帯性の花木です。新梢は細長く、鮮やかな紅色の花を年数回開花させます。(花期:6~11月)
[ノウゼンカズラ科]:ブラジル・アルゼンチン原産
ジャカランダは、高さ15メートルほどの高木で、羽状複葉の美しい葉を持ちます。花はスミレ色で、南九州の温暖地では屋外で越冬します。(花期:6月)
[オシロイバナ科]:南米原産
ブーゲンビリアは、一般に花と呼ばれる部分は苞葉で、実際の花は内側にある小さな白黄色の花です。(花期:4~11月)
青島亜熱帯植物園は、1965年(昭和40年)4月に開設され、1967年(昭和42年)6月に正式に開園しました。この植物園は、青島に自生するビロウなどの亜熱帯植物を保護し、学術研究の場としても活用することを目的に設立されました。青島は、北半球最北のヤシ科植物の群生地として知られ、その貴重な自然環境を守るために植物園が設立されました。
また、開設からわずか半年後の1965年10月には、シンガポール植物園と姉妹植物園の締結が行われ、半世紀以上にわたって技術者の派遣や植物の交換が続けられています。これにより、青島亜熱帯植物園ではシンガポール植物園やブラジル、アルゼンチンなどから譲り受けた、様々な亜熱帯植物が植栽され、訪れる人々に豊かな自然を提供しています。
開園から50年が経過し、施設の老朽化や耐震基準の問題が指摘されるようになりました。これを受けて、2016年(平成28年)3月に大規模なリニューアルが行われ、植物園全体と大温室が新しく生まれ変わりました。さらに、リニューアルにあわせてネーミングライツが採用され、同年4月より愛称が「宮交ボタニックガーデン青島」となりました。この取り組みにより、植物園は地域社会との結びつきをさらに強化し、持続可能な運営を目指しています。
青島亜熱帯植物園は、年中無休で運営されており、園内や温室への入場は無料です。以下は、施設の利用に関する詳細情報です。
青島亜熱帯植物園は、亜熱帯の植物を豊富に揃え、訪れる人々に自然の美しさを感じさせる場所です。地元の自然と文化を大切にしながら、今後もさらなる発展が期待されています。宮崎を訪れた際には、ぜひ一度足を運んでみてください。