不動池は、宮崎県えびの市に位置する美しい火山性湖沼です。この池は、九州南部のえびの高原北東部にあり、直径約200メートルという大きさを誇ります。周囲を急な斜面に囲まれ、静かな自然環境の中で、その独特の青い水が訪れる人々を魅了しています。
不動池は、その周りを高さ約20メートルの急斜面に囲まれた湖沼で、外部から川が流入・流出することはありません。このため、雨の少ない冬の時期には水位が約2メートル低下することがあり、特に1月から2月にかけては池が結氷することもあります。また、池の水質は強い酸性(pH=4.5)を示しており、生物が生息しにくい環境となっていますが、近年その酸性度は弱まる傾向にあります。
強い酸性水質のために生物の種類は少ないものの、ハリミズゴケ、ウマスギゴケ、ユスリカ、ゲンゴロウなどが確認されており、年々その生物の数は増加しています。このような特殊な環境下で生きる生物たちは、不動池の自然環境の独自性を物語っています。
池岸の地質は輝石安山岩で、池底には火山砂礫が堆積しています。生物が少なく、底質が砂礫質であることから、不動池の水は非常に透明で、水深が比較的深いため、濃い青色(フォーレル水色標準3番または4番)を呈しています。この美しい青色は、池の透明度の高さと相まって、訪れる人々に深い感動を与えています。
不動池は宮崎県道1号が近くを通っており、池を一望できる駐車場も整備されています。特に晴れた日中は多くの観光客がこの場所を訪れ、池の周辺を散策しながら、その美しい景観を楽しんでいます。不動池の静けさと透明な水、そして雄大な自然は、日常の喧騒から離れたリフレッシュの場としても人気です。
不動池は、霧島火山群に属する火口跡です。おおよそ3000年前、この地域での火山活動により、六観音御池と甑岳の間に溶岩が流出し、その後水蒸気爆発によって深い窪地(マール)が形成されました。この窪地に水が溜まり、現在の不動池が誕生したのです。
この地域は火山活動の影響を強く受けており、池周辺の地質や地形もその特徴を色濃く残しています。特に火山砂礫の堆積や水質の酸性度は、池の成り立ちと火山活動の影響を物語っており、不動池は霧島火山群の一部としての重要な自然遺産となっています。
不動池は、その美しい青い水と透明度の高い景観、独特な生態系によって、自然愛好家や観光客にとって非常に魅力的な場所です。また、霧島火山群の一部として、その地質的価値も高く、多くの人々がこの自然の恵みを体感しています。訪れる際には、周囲の自然環境を大切にしながら、その静かで美しい景観を存分に楽しんでください。