出の山公園は、宮崎県小林市大字南西方字出の山に位置する自然豊かな公園です。園内には美しい池や湧水が広がり、多くの動植物が生息する自然の宝庫となっています。
出の山公園の中心には、出の山池が広がっており、その水源である出の山湧水は、1985年(昭和60年)に名水百選のひとつに選定されました。この湧水は、霧島連山の湧水群の一部であり、毎秒1トンもの豊富な水量が小林市最大の溜池である出の山池に流れ込みます。
出の山池は、1614年(慶長19年)に薩摩藩によって灌漑用水として造られました。この池の周辺には、多くの動植物が生息しており、特にゲンジボタルの一大生息地として知られています。池のほとりに整備された遊歩道からは、5月下旬から6月上旬にかけて幻想的なホタルの舞を楽しむことができ、訪れる人々に癒しのひとときを提供しています。
出の山公園に隣接する「宮崎県水産試験場小林分場」では、出の山湧水を利用したチョウザメの人工孵化が成功し、民間との協力でキャビアの商品化も行われています。また、園内には「出の山淡水魚水族館」があり、コイやマス、チョウザメなどの川魚の展示が行われています。さらに、これらの川魚を使った料理を提供する飲食店もあり、訪れる人々に新鮮な味覚を楽しんでいただけます。
出の山公園には、古代から伝わる神話や伝説が残されています。肥後国や大隅国、囎唹郡の山間地域に居住していた原住民の熊襲が朝廷に逆らい、年貢米を献納しなかったため、景行天皇が九州地方に征伐に訪れたという伝承があります。
京を発った天皇は、長門国や豊国を経て日向国に高屋行宮を設置し、熊襲を平定。その帰途に夷守(現在の小林市付近)に立ち寄りました。当時、出の山を囲む丘には豪族の館があり、そこには諸県の君と呼ばれる美しい女性、泉媛がいました。媛が出の山から汲んできた湧水で淹れた一服のお茶が天皇の心を癒し、二人の間には情愛が芽生えました。しかし、帰還の時が訪れ、天皇は京へ旅立ちます。残された媛は嘆き悲しみ、池に身を投げて蛇に化身し、守り神となったと伝えられています。
現在も、毎年4月には出の山公園で水神様を祭る弁財天祭が行われており、大出水地区にある墓地の隣には、泉媛の墓と伝わる石も残されています。
出の山公園へのアクセスは以下の通りです。
自然と歴史が融合した出の山公園は、訪れる人々に心の安らぎと癒しを提供する場所です。ぜひ一度足を運んでみてください。