日南市は、宮崎県南部に位置する市です。かつては伊東氏飫肥藩の城下町として栄え、「九州の小京都」と称される飫肥(おび)や、自然豊かな日南海岸国定公園を有する観光の街です。市は東に太平洋の日向灘に面し、歴史と自然が融合した魅力的な地域です。
日南市の東側は太平洋に面しており、日向灘の青い海と豊かな自然が広がっています。一方で、飫肥城や歴史的建造物群など、歴史的な観光資源も充実しており、訪れる人々を魅了しています。
日南海岸国定公園は、宮崎県の自然美を代表する風光明媚なスポットです。ここでは、太平洋に面した断崖絶壁や白い砂浜が続く美しい海岸線を楽しむことができ、特にドライブや散策に人気のある場所です。
飫肥城は、江戸時代に築かれた城であり、飫肥藩の中心として機能していました。城下町である飫肥の町並みは、伝統的な建物が立ち並び、1977年には九州・沖縄地方で最初に「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されました。飫肥城やその周辺を散策することで、歴史と文化に触れることができます。
鵜戸神宮は、日南市北東部に位置する歴史的な神社で、険しい海岸線に沿って立っています。神社自体が洞窟内に建てられており、神秘的な雰囲気が漂います。また、縁結びや安産祈願の神として多くの参拝客が訪れます。
サンメッセ日南は、日南市の観光名所の一つで、特にモアイ像が目を引きます。このモアイ像は、イースター島の長老会と島民から日本に復元することが許可されたもので、世界で唯一、イースター島以外で公式に設置されたモアイ像です。サンメッセ日南では、モアイ像の他にも美しい自然やユニークな展示が楽しめます。
猪八重渓谷は、日南市の自然を堪能できるスポットです。豊かな森林と清らかな渓流が広がり、四季折々の自然の美しさを感じることができます。特にハイキングや自然観察に最適な場所として、多くの自然愛好家が訪れます。
北郷温泉は、日南市の温泉地であり、リラクゼーションを求める観光客に人気のあるスポットです。温泉の周囲には豊かな自然が広がり、癒しのひとときを過ごすことができます。温泉宿泊施設も充実しており、宿泊を伴う観光に最適です。
日南市はスポーツキャンプ地としても有名です。広島東洋カープが使用する「日南市天福球場」や、「日南総合運動公園野球場」、埼玉西武ライオンズがキャンプを行う「南郷スタジアム」などがあり、プロ野球ファンにとってはたまらない観光スポットです。また、「ジェイズ日南リゾート」では、自然を満喫しながらリゾートライフを楽しむことができ、ゴルフなども楽しめます。
日南市の飫肥地区では、「飫肥天」と呼ばれる魚のすり身を揚げた料理が有名です。また、厚焼き卵も名物料理の一つで、そのふっくらとした食感と甘さが特徴です。これらの料理は、飫肥城下町を訪れる観光客に人気のグルメです。
日南市の名物料理としては「サボテンステーキ」もあります。サボテンを使ったユニークな料理で、その爽やかな味わいが特徴です。日南市ならではの特別な料理として、一度は試してみたい一品です。
魚を原料にした「魚うどん」は、日南市でしか味わえないご当地グルメです。魚の旨味を存分に感じることができるこのうどんは、地元の人々にも愛されています。
かつて「東洋一のマグロ漁港」として知られた油津地区は、現在ではサーフィンスポットや観光地として注目を浴びています。特に「梅ヶ浜」はサーフィンを楽しむ人々に人気があります。観光地としても往時の漁港の賑わいを感じさせる魅力があります。
飫肥地区は、江戸時代まで城下町として栄えていました。現在もその歴史的な街並みが保存されており、1977年には九州・沖縄地方で最初の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されました。飫肥城や古い町並みを歩くことで、当時の風情を感じることができます。
東郷地区は、農業が盛んな地域であり、田園風景が広がっています。今後は東九州自動車道のインターチェンジも建設され、交通の便が良くなることが期待されています。
鵜戸地区には、日南市を代表する観光スポット「鵜戸神宮」があります。また、ポンカンの栽培が盛んで、漁業も重要な産業です。この地区の海岸線には、鬼の洗濯岩と呼ばれる独特の地形が広がり、自然の美しさが堪能できます。
酒谷地区は、自然を活かした観光スポットが多くあります。日本の棚田百選に選ばれた「坂元棚田」や「道の駅酒谷」など、農村の風景や地域の特産品を楽しむことができます。また、キャンプ場もあり、アウトドアを楽しむことができるエリアです。
日南市南部に位置する細田地区は、農業が盛んで、特産品としては早期水稲で作られた米や極早みかん、スイートピーが有名です。さらに、宮崎のブランド鶏である「みやざき地頭鶏」の生産も行われており、地元の食材を楽しむことができます。
北郷地区は、林業や農業が盛んな地域です。特にスイートピーなどの栽培が行われており、自然に囲まれた環境で農業を基盤にした産業が発 展しています。
日南市は鰐塚山系の山地に囲まれており、市の面積の約78%が森林で占められています。その多くは特産品である飫肥杉です。また、森林セラピー基地に認定されている地域でもあります。市内を東西に流れる酒谷川(さかたにがわ)は、河口付近で広渡川(ひろとがわ)と合流し、太平洋に注ぎます。
気候は日本海流の影響を受けて温暖で、雨量も豊富です。夏から秋にかけては台風が頻繁に接近し、時には大きな被害をもたらすこともあります。
戦国時代には、日南市は天然の良港である油津(あぶらつ)港と飫肥城を巡って、戦国大名の伊東氏と島津氏が100年以上にわたって争った歴史があります。江戸時代には、伊東氏飫肥藩5万7千石の城下町として繁栄しました。
日南市としての歴史は、1950年1月1日に南那珂郡飫肥町、吾田町、油津町、東郷村が合併したことから始まります。この合併は、飫肥町と油津町の住民間の意識や性格の違い、庁舎設置の主導権争いなどで何度も協議が難航しましたが、最終的には吾田町に新庁舎を置くことで妥結し、「日南市」と名付けられました。この市名には、日向国(宮崎県の旧国名)の「日」と南部を示す「南」の二文字が用いられています。
その後も、1955年に細田町と鵜戸村、1956年に榎原村と酒谷村を編入しました。平成の大合併の流れに沿い、2004年には北郷町と南郷町との合併協議が進められましたが、一度は北郷町議会で否決されました。しかし、再度の協議を経て2009年に両町との合併が成立し、新しい日南市が誕生しました。この新市の区域は、江戸時代の飫肥藩の版図とほぼ同じです。
日南市の主要産業は農林水産業です。特にカツオの一本釣り漁は日本一の水揚げ量を誇り、2021年には日本農業遺産に認定されました。カツオの刺身を醤油ダレで味わう「かつおめし」は、日南市の郷土料理として親しまれています。
製造業では、王子製紙日南工場の存在が際立っており、紙製品の製造が地域経済を支えています。また、日南市には自動車部品メーカーも多く、工業都市としての一面も持っています。
日南市は、豊かな自然と歴史が調和した魅力的な都市です。観光地としての潜在能力も高く、訪れる人々に多くの感動と発見を提供しています。これからも地域の特産品や伝統を活かし、さらなる発展を遂げることでしょう。