三之宮峡は、宮崎県小林市に位置する自然豊かな景勝地です。この峡谷は、約34万年前の破局噴火によって形成された加久藤火砕流の溶結凝灰岩層が、長い年月をかけて浜ノ瀬川によって浸食され、現在の美しい奇岩が生まれました。自然の力によって形作られたこの地は、訪れる人々に壮大な自然美と歴史を感じさせます。
三之宮峡には、いくつかの見所が点在しています。例えば、屏風のようにそそり立つ「屏風岩」、広々とした岩面が特徴の「千畳岩」、そして神秘的な洞窟「河童洞」や、「櫓の轟(やぐらのとどろ)」などがその一部です。これらの自然の造形美は訪れる人々を魅了し、写真撮影やハイキングを楽しむには最適の場所です。
また、三之宮峡の下流には「陰陽石」と呼ばれる奇岩があります。この陰陽石は宮崎観光遺産にも選ばれており、その独特の形状と神秘的な存在感から、多くの観光客が訪れる人気のスポットとなっています。
三之宮峡の魅力の一つに、遊歩道があります。この遊歩道は「全国遊歩道百選」にも選ばれており、自然の中を散策することができます。特に注目すべきは、明治時代に木材の運搬のために掘られた素掘りのトンネルです。現在でも当時のまま残されており、薄暗いトンネル内は夏場でも冷気が漂う神秘的な雰囲気を保っています。
遊歩道の終点には「橋満橋」があります。このアーチ式のコンクリート橋は、1943年(昭和18年)に地元住民の協力によって建設されました。戦時中の鉄不足により、鉄筋の代わりに竹が用いられたという歴史的な背景があります。橋満橋は、1982年(昭和57年)に新たに「三之宮大橋」が完成するまで生活道路として利用され、その後1990年(平成2年)に市の有形文化財に指定されました。
「櫓の轟」は、滝壺を覗き込むことで通常の沢の音とは異なる勇壮な音が聞こえることで知られています。この場所は三之宮峡のハイライトの一つであり、環境省(当時は環境庁)によって‘残したい’日本の音風景100選にも選ばれています。自然が奏でる独特の音風景は、訪れる人々に感動を与え続けています。
三之宮峡では、四季折々の美しい風景を楽しむことができます。春には岩ツツジや藤の花、ジャケツイバラの花が咲き乱れ、峡谷全体が色鮮やかな景色に包まれます。秋には、照葉樹に交じる紅葉が見事なコントラストを生み出し、訪れる人々の目を楽しませます。
この地域には、コジュケイやキジなどの山鳥、ウグイやヤマメなどの魚類が生息しており、豊かな自然環境が保たれています。1978年(昭和53年)には「宮崎県緑地環境保全地域」に指定され、自然保護の取り組みも行われています。
三之宮峡へのアクセスは、JR九州吉都線小林駅からタクシーで約15分の距離にあります。また、車でのアクセスも便利で、宮崎自動車道の小林ICからすぐに到着することができます。自然の中でのリフレッシュに最適な三之宮峡は、宮崎県小林市の隠れた名所として、訪れる価値がある場所です。
三之宮峡は、自然の美しさと歴史的な背景を持つ魅力的な場所です。四季折々の風景や独特の音風景、奇岩やトンネルなど、多くの見所が点在しており、訪れる人々に忘れられない体験を提供します。宮崎県小林市を訪れる際には、ぜひ三之宮峡を訪れ、その美しさと歴史に触れてみてください。