藤田家住宅は、奈良県生駒郡平群町に位置し、重要文化財として指定されている歴史的な民家です。この住宅は、江戸時代から続く日本の伝統的な建築様式を今に伝える貴重な存在であり、その価値が高く評価されています。
藤田家住宅は、平群町北福貴の高台にあり、南には灰田川の谷を見下ろす絶好のロケーションに位置しています。この住宅は、大和棟(やまとむね)という伝統的な建築様式を持つ民家として有名で、1984年度(昭和59年度)から1985年度(昭和60年度)にかけて、半解体修理が行われました。この修理に際しての調査により、元禄年間(1688年 - 1703年)に建設された当初の姿が判明し、茅葺(かやぶき)の入母屋造りであったことが確認されました。その後、藤田家住宅は3度の大規模な改修を経ています。
藤田家住宅の改修は以下のように行われました。
これらの改修後、藤田家住宅は第一次改造の形態に復元され、大和棟の美しい外観が整えられました。また、茅葺きの入母屋造り構造の前身建物に関する古図も伝わっています。
藤田家住宅は、昭和52年(1977年)1月に文部省告示第11号により、重要文化財として正式に指定されました。これは、この住宅が日本の伝統的な建築文化を今に伝える貴重な財産であることを認められた結果です。
母屋の規模は、桁行(けたゆき)18.8メートル、梁間(はりま)11.8メートルとなっており、非常に大きな建物です。指定後の構造形式は、切妻造り、段違い構造であり、南面や東面北寄、北面、西面には庇(ひさし)が設けられています。屋根は本瓦及び茅葺きで、伝統的な日本家屋の美しい外観を保っています。
外見の特徴として、土間につながる内玄関に加え、代官やその他の賓客用の外玄関が設置されており、当時の社交的な役割も果たしていたことが伺えます。
藤田家住宅へのアクセスは、近鉄生駒線「平群駅」から徒歩約20分で到達できます。また、平群駅からコミュニティバスを利用し、「平群中学校」停留所で下車、そこから徒歩5分程度で到着します。住宅は一般公開されており、年に2回ほど特別に公開されることがありますが、詳細は平群町役場の観光課に問い合わせることをお勧めします。
藤田家住宅は、その歴史的価値や保存状態の良さから、重要文化財として高く評価されています。元禄時代から続くこの住宅は、数度にわたる改修を経てもなお、日本の伝統的な建築美を保ち続けています。訪れることで、日本の歴史と文化をより深く感じることができるでしょう。